言語学最前線である。 言葉は変化するとはよく言われるし、実際、変化が起こるのは、発する言葉の伝達速度アップと効率化の欲求の表れであったといえそうだ。社会集団が安定化し、閉じた関係性の中で意思や意味を伝えるようになると、省略と省エネが起きる。…
とびきりハードで不寛容で未成熟な若くリベラルなアメリカでのおとぎ話だ。 女はいつも戦っている。負け戦であってもだ。だから、ページをめくるのは重くつらい。従順で健気で素直な「女の子」であることを当然に「定形」として求め・求められるという社会規…
江戸の名手である。 とくに町人、悪所を書かせたとき、この人の右に出る者は何人いるだろうか。まるで、暖簾の向こうで見てきたようまちの風情を描く。たいした筆力だ。ただただ恐れ入る。 大団円を迎えるまで、地味なシーンに時間を掛ける。それには理由が…
人格の形成とはいつ成されるのだろうか。 持って生まれた性格や才能、能力が揃い「その人」らしさが形づくられ、他からもそう認識されるのはいつなんだろうか。何を言いたいのかと言えば、続刊であるこの本にもおいても、成瀬あかりはあいも変わらず天然・自…
なぜ、サブカル批評、現代文化論の宇野は、政治や地域社会を論ずる本を作り続けるのか。 この本は、2011年の東日本大震災、2020年前後の新型コロナウィルス感染症の社会経済情勢の受け、東京や地方の「まちづくり」を考えたものだ。もっとも、下敷きとして19…
岩尾は言う「なぜお前は自分自身をマネジメントできないのか」。そればかりではない。「なぜお前たちは、いつまでも手段と目的をとっ散らかっているのか」と呆れているのだ。 しかしだ。あなたがいま求めているものは、目的ではなく手段ではないのか?と問わ…
事務とは、手続きであり、プロトコルであり、フォーマットであり、プロセスであり、契約であり、説明責任であり、会計であり、ブロックチェーンである。要は、「正しさ」を求める一連の行為である。 この一連の行為において我々は「正常」でなければならず、…
痛快・天空人ゲームバトルである。 ゲームの要素とは、遊戯性と射幸性、そして全てのプレイヤーを制するルールである。なので勝負を分けるのは、ルールのハックである。とは言えである。できるのか?易々と勝ち負けを分ける勘所を読み切り、対戦相手の手と判…
仕事と居場所と感情の話しだ。 働くことに伴って少なからず、感情のやり取りが発生する。それは達成感や感謝を向けられることといった正の面もあるし、ただただ疲弊したり夢中になってしまうあまり前後が見えなくなる負の面もある。 もっとも、煩わしいだけ…
子ども向けのテレビ特撮ヒーロー番組の放送時間は、なぜ30分なのか。 子どもの集中力の持続時間の長さでもあるように思うが、実は違うだろう。一話で子どもをテレビの前に釘付けさせ続ける制作者側の力量の問題でもあるし、実は、視聴者である子どもは保護者…
気骨と使命感を帯びた記者の歩みだ。まるで講談ものに出てくる仇討ちの浪人のようではないか。 物事を「終わったことにしたい」「面倒なことは避けたい」という勢力は確実に存在する。そのことを指摘したり、迂闊に本質を追求すると逆上したり逆襲を受けたり…
死とは忌もの、禁忌である。日常生活からは憚られる。なので、通常の日常原理とは違う物差しで物事が動く。「身内に不幸が」と言えば、「そりゃ、しゃーない」となる。 身内すなわちプライベートな冠婚葬祭として、これまで家族単位で死が扱われてきたものが…
ビジネスをどう作るか。 つまるところ、どんな価値を提供するかに尽きるのだが、穐田は自分の目で見て、自分の頭で考え、実行してみせる。当たり前のようだが、案外できていないものだ。なぜか。人の風説や評判、友人・知人の話しを信用してコロっと落ちる。…
オネスティーとは何か。 ただただ「気の毒」である。あきらかにオカシイと誰からも突っ込まれてしまうことを報告書にまとめ、そのことを聞かれても「わかんない」と答えるのだ。なぜ、そんな木偶の坊が出来上がってしまうのか。安きに流れてしまっているのだ…
組織と個である。 なぜ、組織の中での個性が問題になるのか。その前に組織の中には、なぜか変な人がいる。運が良ければ、頭角を現すし、燻ったまま引退することもある。語り出すと止まらない変な人がいて、その光り輝く美点が組織の中で目に止まれば、その変…
いつもながらの痛快・呪ファンタジーである。 なぜ、晴明は結果として人助けをするのか。頼まれごと、巡り合わせに仕方なく応じただけのことであり、本来、ゆるりゆるりと博雅と酒を呑んでいるだけなのだ。決して、自ら望んで火中の栗を拾に出かけいるわけで…
こんなにも単純でわかりやすい侵略行為の典型の事例に対し、当たり前の対抗措置を地域全体で当然にやれなくてどうする?という問いかけである。 あらためて、置かれている現実とは「抵抗しなければ祖国が無くなってしまう。将来が無くなってしまう」状態のこ…
イーブンとは何か。イコールパートナーとは何か、である。 おじさんが拗(こじ)らせた話しである。あぁ、そうか、その類いか、そういう感じか。では、なぜ、拗(こじ)らせた後にしか、「話し」にならないのか。そういうもんだろ。でも、そこを面白がってい…
威と愚である。 作家にとって、満州とはよほど魅力的なテーマなのだとあらためて思い知らされる。確かに、ロマンと虚構だ。実態は怪しげで掴みようがなく、虚勢と思惑ばかりが充満している。刺激的であり創作意欲がわき、作家としては堪らないのだろう。 地…
なぜ、ゴッホは郵便配達夫を描いたか。 仲良くしてくれたから。まぁ、そりゃそうだ。だが、近代における「郵便」という社会システムが持つ意味がある。郵便「制度」と言われるように、国家が個人をつなぐ装置である。ゴッホは孤独であっても、彼と知り合いや…
洒脱な大人ふたりの父子関係である。 大立て者の子どもなのだ。健一にとっては父・茂がポッと出てきたわけじゃない。吉田の家も大概だが、母方の牧野とは大久保利通の連なる閨閥に入るわけでこの運命から逃れようはない。当然、自分の立ち位置は周囲の様子か…
オカケンとは友達になれるな。うん,きっと飲める。そう,義憤スイッチ。わかるよ,オカケン。四半世紀前、私はヤング・ファーザーでPTA役員だった。因習に囚われた世界だったけど、私はいらん業務はドンドン止めた。教頭と職員室で大喧嘩して、二人とも校長…
日々の積み重ねで濁りや澱が溜まるように、生きていく中で理性が曇り、感情が毒され、そして感性や直感の瑞々しさが失われてしまう。 常に本質を問い、鈍ってしまうことを嫌った男・ジョブズ。世界を変えられると真顔で思っていたのだから、世の中の複雑さを…
爆笑お言葉ではない。やむに止まれず発した魂の叫びだ。 裁判官、判事は、毎日,おかしなヤツに会う。最大限、誇張すればそうなる。少なくとも仕事に従事、いや、案件を抱えている間は、法を犯したおかしなヤツが出てきた事案を考える。美しい判決文が、極め…
吉田茂が主義主張を語るときの正直さと洞察力が染みる一冊だ。 ソビエトと中共を嫌い、大使を務めたイギリスに同じ通商国家として信を置く。吉田茂を戦後のリスタートに宰相を任じた決断に、ただただ感謝したい。もっとも、もう吉田しかいなかったのかも知れ…
アイソスタシーという地殻が氷山が海に浮かぶようにマントルの上に存在している図を説明したくて、この一冊はある。ここでいう海に相当するのがマントルであり、橄欖岩である。氷山の海面より下の部分は海洋地殻の玄武岩である。海面より上にあるのが大陸地…
鶴見俊輔が没して8年である。日本の言論界は、鶴見俊輔が去ってホッとしているのがわかる。鶴見俊輔にバカにされるのではないか。根本から違うよ、と言われるのが怖かったのだ。そうした「わかっている人」にハナっからひっくり返されちゃうのは、堪えたは…
テーマは空気だ。世間の空気そのものが主役なのだ。 そもそも周りに「わかってもらえる」とは何なのだろうか。こちらから見える世界とそこから働きかける自分がいるとき,はたらきかけた相手からの反応そのものを、こちらが期待していなかったとしたらどうな…
この世は、生きている者のものである。 なので、うっすら感じている死んでしまうことやいなくなってしまうことは、普段は考えない。とは言え、当たり前に明日が来るわけではない。大小の違いはあれ、アクシデントはあるし、うっかりとしたミスもあるので、思…
頭のいい子たちのある種の物語だ。なかでも、私は島崎さんのファンである。 天才・成瀬の空気を読まないきっぷの良さに大抵の人はヤられるのだが、成瀬ウォッチャー・島崎さんの神経の太さも大概だ。常識人である島崎さんが一方的に成瀬に振り回されるわけで…