2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「文藝春秋2019年6月号 【特別寄稿】 自らのルーツを初めて綴った 猫を棄てる―― 村上春樹 父親について語るときに僕の語ること」

新聞各紙で話題になったので,ご覧になった方も多かったのでは無いか。文藝春秋6月号に掲載の村上春樹「猫を棄てる―父親について語るときに僕の語ること」である。 何度も戦争に召集された国語教師の父。俳句を愛した父は,作家になった村上春樹に,小説上…

読書感想文「ごきゅうけいですか? ラブホスタッフの上野さん」上野 (著)

ラブホテルという特殊な舞台のあれやこれやを軽妙に語る圧倒的なセンス。この著者がすごいのは,それだけじゃない。男女関係の定式を示すのだ。満室の際のウェイティング・ルームを題材に,「私は男女の役割は違うと考えております」という。「デートを楽し…

読書感想文「京都がなぜいちばんなのか」島田 裕巳 (著)

それは,カラー写真のせい!と,チコちゃんなみに素っ頓狂なことを言ってみたくなる。京都という圧倒的なポジションを成しているのは,伏見稲荷大社の千本鳥居,池とセットになった金閣寺,ザ・苔寺の西芳寺,さらに,平等院鳳凰堂と石清水八幡宮などだが,…

読書感想文「樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ」樹木 希林 (著)

「全身がん」と称した晩期の言葉を集めた本だ。類書も多く出版され既に読んだものもあり,重複するだろうと思って手に取るのをためらっていた。だが,活字も大きく,話し言葉,全面の写真の多用もあって,すぐに読み終えた(47歳の写真は出川哲朗にそっくり…

読書感想文「ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず」 ヤマザキ マリ (著)

私と同年代のヤマザキマリが,テルマエロマエで地位を築く前のmixiやブログの記事(いや愚痴か)を綴った一冊。息子愛をこじらせた姑に手を焼きヘトヘトになる嫁・マリとは,大御所になる前のヤマザキマリその人であり,そんな心が縮れるヤマザキマリの独白…