2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「戦国の教科書」天野 純希 (著), 今村 翔吾 (著), 木下 昌輝 (著), 澤田 瞳子 (著), その他

最新の歴史学の研究成果を踏まえ,歴史小説をアップデートさせようとする意欲的な試みである。6人の今,注目されるべき小説家が,下克上・軍師,合戦の作法,海賊,戦国大名と家臣,宗教・文化,武将の死に様のテーマに挑み,小説の面白さが解説・ブックガ…

読書感想文「仕事にしばられない生き方」ヤマザキ マリ (著)

2019年版の最新のマリ伝である。当然,いまのマリの視点から人生を省みている。息子デルスがハワイ大学を卒業する,この区切りのついたタイミングでの一冊と言えば,通底するものが伝わるだろうか。生業としてではなく,食いつなぐためにサバイバルしてきた…

読書感想文「八本目の槍」今村 翔吾 (著)

世に響いた「賤が岳の七本槍」それぞれを描く短編集。同級生,同期入社組の関係である。いつまでも,当時の話しで盛り上がれる互いの関係を持ちながらも,三成の死をそれぞれが解きほぐす。七本槍と三成と経済の組み合わせを一冊の本とした著者のアイディア…

読書感想文「ランチ酒 おかわり日和」原田ひ香 (著)

その後が気になっていた話しを読むことができた。娘と別れて暮らす見守り屋の祥子が主人公の続編である。時間というものは,人を一つの状態に留め置かない。祥子と関わる顧客らとの関係が,それまでの「見守る」ことから,はみ出してしまう。それは彼女と,…

読書感想文「稽古の思想」西平 直 (著)

お稽古について,正面から答えを出していこうとする著者の企図である。「稽古はそのつど本番である」。あぁ,これを言ってくれてスッキリしましたよ。対比される練習とは,「本舞台(試合)を目指した事前準備である」。稽古が重たいのは,本番だから。稽古…