2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
感覚派の養老先生と理論派の伊集院の対談である。 二人に共通するのは,「嫌なことはしない」である。ただ,実家が太いこともあって,養老先生は好きな方を選び,嘘くさいことに疑問を呈してきた。多くの弟子を残し,本質を突く変わらぬ言動は重宝されること…
ただの喬太郎ファンブックではない。のちに貴重な柳家喬太郎自身の証言としての同時代史料となるだろう。 「古典落語をやるときには,古典落語をやるんだからこうできゃいけねえ,みたいなものがお客さんにもあるし,僕らの側にもあったりするわけですよね。…
吃る絵師の一代記である。 又兵衛は常に忸怩たる思いの中にいる。絵は絵では通用しないのだ。売り言葉に買い言葉である。絵の解釈,由緒,謂れのセールストークで,絵の価値を伝え,納得させることが必要である。そのことで絵を商品として流通させる。扇や衣…
すっかり古びてがんじがらめとなった旧癖をあらためる「風雲児」でよいのか。 茂十郎は理である。理屈である合理である。制度,仕組みを根元から,目的から捉え直す。そして,合目的に整えて見せる。鮮やかである。ゆえに痛快である。才気走る者とは,こうし…
「まるごと一冊 新型コロナウイルス特別号」だ。 とりわけ,ジャーナリストのフィリップ・モリスが寄せている原稿が興味深い。「2020年という年は,私たちの生き方と死に方に,想像を絶する変化をもたらした。旅立つ者は独りで逝き,残された者は,独りで悲…