駅前のメインストリートでツルハシを持っていた頃


 今日,偶然に「●●興業」の看板を見た(●●は花の名前)。学生の頃,引っ越しのバイトをした際の勤務先で,大手の運送会社の下請けと受託作業をこなす会社だった。作業員の平均年齢は高く,ほとんどのおじいさんに加え,軽作業用のおばあちゃんもいた。
 引っ越し作業がほとんどの毎日だったが,終盤,雪解けが近づいていた駅前のメインストリートで,地面の上の厚い氷をツルハシで壊す作業にかり出された。せいぜい出来たのは,2〜3ブロックだっただろうか。日陰に残る固くしまった氷に手こずりながらツルハシをふるった。
 当時,雑然とした駅前の一角にあったと作業小屋のような会社は元の場所に無く,すっかりキレイになって駅前再開発に連動して開けた町の中にひっそりとあった。会社そのものも既になくなってしまっているのだろうと勝手に思っていたが,看板が当時のことを思い出させてくれた。引っ越し荷物の梱包方法を教わったこと,団地の狭い階段でタンスをぶつけたこと,クレーン車でつり上げて荷物の上げ下げに歓声を上げたこと。12t車の荷台がウィング式に広がって開くこと,云々。