自治体の新聞紙面年始広告は必要ですか?


 年前からの新聞の切り抜きをしている。ハサミで切り抜くだけのことなのだが,どうせなら歌や文句に合わせてやれりゃ人様の前での芸でもなろうかと思うが,紙や埃がたまるもととなって片付かないぐらいの,一人でごそごそやるだけの趣味なので勘弁してもらいたい,と思っている。
 元日の新聞に目を通していると,市長会,市議会議長会のメンバーの各自治体が並んだお年始の広告が今年も出ている。新聞社の広告部や広告局による企画なのだそうだが,こうも足並みを揃えてご一同様で自治体名が並んでいると,お行儀いいのも通り越して横並びの一律ご一同主義かしらん,とつぶやいてしまう。こんなことで地域主権の自主自立なんぞ可能かい,とすら思う。
 確かに,マスコミは怖いし,やっかいだ。しかし,悉皆配布の広報誌に限らず,ホームページや地域メディアなど,マスコミが伝達する以外に自治体が自主的に発信し,住民に届ける手段は格段に増えた。地域での情報発信事業者としてのマスコミと良好な関係の構築は大事なことは言うまでもないが,どこの自治体にとっても,限られた財源を地域づくりに使うことに必死なはずなのに,こうした広告費を捻出することはたやすいことなのか,まったくわからない。
 こうした儀礼的な歳出の正当性はどこまであるのだろう。全道に向けた紙面で,他市町村の住民が自治体名を確認して,だから,何だというのだろう。ましてや,くさすつもりはないが財政破綻した自治体名すらある。減免されてたりするのだろうか。第一,新聞社の広告担当者がどの面下げて,このご時世に広告協賛の依頼をするのだろう。そんな体裁を保つための支出があるのなら,住民の健康や命を守ることに使ってもらいたい,と思うだろうに。
 私も平均寿命の半分はとっくに過ぎているので,礼節を重んじることの大切さはわかっているつもりだ。だが,ほぼ全ての自治体において財政が喫緊の課題となっている中で,マスコミとのつきあいの年始広告にどれほどの住民合意が得られるのか。
 ホームページやメルマガだけではなく,首相さえtwitterでつぶやく時代となった。自治体としてホームページでの年始あいさつ,そして,それを同時に各マスコミにバブリシティとしてなげこんだってよかろう。首長がtwitterで「あけおめ」とつぶやくことだって,意を尽くすことになりはしないか?
 論語をひけば,「礼は其の奢らんよりは,寧ろ検なれ」と孔子さまも言っている。