「強い…」は,神野先生のセリフだったのね。


 新聞で神野先生の写真を見かけたので読んでみると,

 −−菅直人首相が掲げる「強い経済,強い財政,強い社会保障」は,神野さんが生みの親だそうですね。
 「5月中旬,政府税制調査会長だった菅さんと会長代行の原口一博さんらに説明したときに使った言葉だが,これはいいねと。もともとは,スウェーデン政府の理念。行き詰まった日本を立て直すには,新しい経済社会のビジョンを示さなければならない」


「新政権 経済政策の課題 下」 東大名誉教授 神野 直彦さん 朝日新聞 2010年6月12日


 この後,神野先生は上げ潮派を批判して,こう続ける。

 「税負担の水準と経済成長率は,関係無い。スウェーデンのように税負担は高くても成長する国もあれば,金融危機前の米国のように税負担が低くても成長率が高い国もある。一方で,日本は税負担は低いけれど,成長もしていない」


「新政権 経済政策の課題 下」 東大名誉教授 神野 直彦さん 朝日新聞 2010年6月12日


はーい,ここ注目でーす。「税負担の水準と経済成長率は,関係無い」。はい,口に出して,もう一度,「税負担の水準と経済成長率は,関係無い」。
 このインタビューの締めくくりは,次のようになる。私は政府がオープンでコンパクトであることを条件に,神野先生を断然指示する。

 −−首相は,政策の優先順位づけで,経済成長や雇用創出を基準にする考えです。
 「軸としてもうひとつ入れるべきなのは社会的正義。言い換えれば,格差是正や所得の平等な分配の観点だ。成長しても失業や貧困であふれていては意味がない。税制についてても消費税の増税論議ばかりが注目されるが,所得税や資産課税を含めて,新しい社会を支える税体形のあり方を考えるべきだ」


「新政権 経済政策の課題 下」 東大名誉教授 神野 直彦さん 朝日新聞 2010年6月12日


 選挙一色の状況なのだが,政府税制調査会専門家委員長の神野先生が率いる議論が,新政権にどう反映されるのか,それとも反映されないのか,私はそこに注目しておこうと思う。