「きちんとやっても九十年」と「らしく,ぶらず」


 昨晩,読み終えた本から,わずかばかりメモ。
 古今亭志ん朝師匠の弟子となった時代の頃からを書き起こした古今亭志ん輔師匠の著書。その中で,志ん輔師匠が義太夫の師匠から聞いた話し。そのお師匠さんは,なんと90歳。しかも人間国宝

「(略)気持ち悪いやろ,いい加減にやっても九十年,きちんとやっても九十年。それやったらきちんとやった方が気持ちええに決まっとる」
 芸を極めるっていうのはこういうことですよね。


p.198〜199 「寄席雑記帖 噺家パラダイス」 古今亭志ん輔


あちゃー。まったく,そのとおり。気持ちよく生きるための言葉として覚えておこう。
 続いては,コンビの芸人さんが互いに意見を出し合う様子など見られないことと比較しての話し。

ナポレオンズは友達同士のコンビだった。大学サークルのそのままのノリが,このフレッシュさを保っていた。『らしく,ぶらず』先代の文楽師匠が言っていた言葉を思い出した。「噺家らしくしていなさい。決して噺家ぶるんじゃありませんよ」こう言って弟子を育てた文楽師匠の言葉は,この二人に生かされていた。


p.234 「寄席雑記帖 噺家パラダイス」 古今亭志ん輔


先代の文楽師匠の話しは,当然,コンビ向けの話しではなく,世間様の中でどう生きるか,を説いたもの。「らしく,ぶらず」。人にはいろんな面があるだろう。そのそれぞれに「らしく,ぶらず」生きていかなくちゃ。


噺家パラダイス―寄席雑記帖

噺家パラダイス―寄席雑記帖