明日に残る仕事とは


 誤解を恐れずに言うと,私はジーさんが好きだ。いや,やっぱり言い直そう。おかしな趣味じゃなくて,先人の話しに耳を傾けるのが好きだ。
 今年も職場のOBの方々から年賀状をいただいた。なるべく,虚礼廃止に従って現役の方々との年賀状のやり取りは避けるようにしているのだが,退職のご挨拶に引き続いて受け取ってしまう年賀状に返礼していると,どちらともなく止めることができず,年賀状のやり取りを続けてしまうことになる。
 そうしていただいた年賀状の一通に,次のとおり書かれていた。

明日に残る仕事をガンバッテ下さい。


「明日に残る仕事」とは,何だろう。私は,建築や土木の仕事に直接,携わることは無い。そうしたカタチあるものを地域に残すことは無い。では,何かカタチの無いものを明日に残すことなんてあるだろうか。
 以前,職場の先輩がすっかりいなくなって途方に暮れたとき,知り合いの経営者から,こう言われたものだ。

カネでも,モノでもない。ヒトを残せ。


ニュアンスとしては,「人『財』」となるようにヒトを育てろという意味だ。明日に残せるようなヒトを育てられるだろうか。なんかおこがましいな。健やかに伸びやかに育ってくれることを邪魔せず,見つめられるだろうか。
 きっと,胸を張って「育てた」などと言えるときなど来ないだろう。ただ,私より明日の長い方々にスムースにリレーできれば,それでイイ。