何をイライラしてるんでしょうね,と立川談春師は言った。3月20日・春談春/札幌


 すでに10日以上,過ぎた。立川談春師の独演会に行ってきたのだ。すぐに,このことを書かないでいた。カッコつけて言うとブログなんてのは,どうしようもなく引っかかることや,内側から湧いてくるフツフツしたものを残しておくものであって,それが出てこないうちは,新たなエントリーなんて書きようも無い。まして,ツィッターフェイスブックで,沸点前の鍋の内側の気泡のようなものまですくいとれちゃうようになると,ますます書きにくい。
 いけね,談春師の独演会の話しだった。
 昨年の札幌での独演会で,談春師,主催者側からの強い要請があったのか,我々ファンの熱気が伝わったのか,2012年の年4回独演会を発表。会場が大いに沸いた。それから,まだか,まだか,とネットで確認の日々。それどころか,主催者側に電話で問い合わせ,対応してくれたお姉さんに「まだなんですよ。担当者に言っておきます」と慰められる有り様だった。それから程なくして発売日が決定。早々にネットで注文。そしてチケットが届き,3月20日の春談春を迎えることができた。2012年3月20日(火・祝)午後3時00分開演,場所は札幌,道新ホール。
 春というのは,とかく難しい。体の成分が変わる,それでも定常的に予定をこなしていかなくてはならない。まして,日本人にとっては,昨年の大震災から1年なのだ,心身ともに難しい。そんな中,談春師が札幌の高座にあがった。そう,あがっちゃったのだ,いきなり。なんで?前座無しなんだよ。聞けば,前座さんが何かやらかしたらしい。あ〜あ。
 さて,おまちかねのまくら。難しい春のまくら。年4公演のしょっぱな,何を言うのだろう。談春師は率直にとまどいを語った。そんな先のことなんぞ,わからねえのに,よくもまあ4回連続公演のチケットを,みなさん,買っちゃうんですね,と。わはは,そのとおり。そんな,皆さんのひとりが私だ。そして,春の難しさ,とりわけ,いまの春の難しさを語ったのだった。何をイライラしてるんでしょうね,と。飯が食えないわけじゃない。世界中を見渡せば,日本はそうとうにイイほうで,なのにみんなイライラしている。そんなイライラすること無いじゃないですか,と。
 こうやって切り出した噺は,黄金の大黒。そして,仲入り後は包丁。どちらも,大満足の談春節。トントーンと気持ちのよりリズムで進んでいく。心地よくて,体がほぐれる感じがするくらい。
 2時間を超えて熱演。いつもありがとうございます,談春師匠。本当に出し惜しみしない人です。しかも,道内での高座で,今まで一つもネタかぶりがないんじゃないだろうか。
 次回は,6月23日(土)。今から本当に楽しみだ。こうした,ほぼ同年代の落語家と今後,人生をともにできる喜びを心底味わっている。へへへ。