やはり,自分を築くために「言葉は大事」


 たまたま,目にした今朝の新聞の文化欄の記事。美を負うことについて書かれたものだけど,どう生きるか,に関わる部分があり読み返した。

 内面から出る生まれる美もある。苦しくてつらい死にそうな恋もすれば,心も体も変革される。言葉も大事。語彙が少ないと感情は単純化して,そういう人格になってしまう。
 生き方も美に影響する。
(略)
 見た目の美は老いるとともに衰えてしまう。かつて胸がよじれるほどうらやましいと思った美人が,同窓会で会うと若い頃のきらきら感を失っていた。
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 人間でも,顔はいま一つなのに,匂いやフェロモン,何かを放ち,モテる人がいる。それはメディアが作り上げる見た目の美とは異なる,いわば本能に直結する美。


「現役」のうちに,死にたい 「女性にとっての美」 大石静に聞く
朝日新聞 2012年4月23日(月)

 「言葉も大事。語彙が少ないと感情は単純化して,そういう人格になってしまう」。確かに言葉は大事だ。レヴィ・ストロースじゃないけど,言葉がないと,感情を思考に変換できない。だから,いろんな言葉を,それも幅広く自分自身に注ぎ込むことが大事になるだろう。とりわけ,長い時間に磨かれてきた言葉がいいと思う。古典なら近松門左衛門井原西鶴浄瑠璃長唄。もちろん,落語も。その時間に磨かれた分だけ,自分に染み入る。
 語彙(や身体表現を伴った伝達手法)が少ないと,相手に伝えることができず,その分,いらつきや不平不満の沈殿となる。それは,その語彙の少なき人自身の不幸であるけども,その語彙の少なさ来る感情をぶつけられる人にとっても不幸なのだ。だからこそ,言葉を磨こう,自分自身を成り立たせるために,豊かな言葉の世界を通じてつくる感情の交換の世界を育むために。