金融機関のロビーにお勧めな一冊:「ペコロスの母に会いに行く」を読んだよ。


 「映画化・決定!」を,新聞広告だったか,Webで見かけて,釣られた一人です,私も。内容は期待どおり。

内容(「BOOK」データベースより)
62歳の漫画家が描く、認知症の母との可笑しくも切ない日々。

著者について
1950年、長崎の斜面の町に生まれ育つ。20歳で上京、小さな出版社で編集の仕事に携わる。40歳でUターン。タウン誌編集長を経て、フリーランスの漫画家、シンガーソングライターとして活動中。雑誌や会報などに掲載した漫画を集め、2009年に『ペコロスの玉手箱』を自費出版。2012年1月に自費出版した『ペコロスの母に会いに行く』が、長崎の老舗書店で芥川賞直木賞受賞作を抑え、2カ月間売り上げ1位を記録。*ペコロスは小さなタマネギの意味で愛称


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そう,まさしく「可笑しくも切ない日々」。可笑しいのは,ほのぼのタッチの絵のおかげが大きい。テキストで語られてしまっては,重く切なくなってしまう。認知症の母と自分を描き,誰しも我がことに引き寄せて思うからだ。
 それでも,つい前のめりになったり,くたびれてしまったりする日々に,こんな一冊が混じるとヨイと思う。アッという間にページはめくり終わってしまう。公共施設のエントランス・ホールや金融機関のロビーに,この本をお勧めしたい。自分が中心の主語が一人称だけになりがちな間に,そうじゃないかもよ,と複眼的なれる。そんな一冊です。出会う機会がありましたら,どうぞ。
 笑いやエンターテイメント,悲劇,歴史巨編,サスペンス,ホラー,……。これらいずれでもない,非「前向き」を描いた漫画。こんな空気感を描ける漫画って,ホント,スゴいよね。


ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く