棗に入れるのは抹茶だってーの!


 美術館に行ってきた。展覧会は,「黒田辰秋の世界」。

黒田辰秋(くろだ たつあき、1904年9月21日 - 1982年6月4日)は、漆芸家、木工家。京都府生まれ。
刳物、指物などの木工と乾漆、螺鈿などの漆芸で幅広く知られる。


黒田辰秋 - Wikipedia


 チケットは,これ。



 私が行った当日は,中学生向けの鑑賞会。ノートを持った中学生がグループになって,ウロウロ。展示物ごとに足を止めている。チケットにある「朱塗六稜棗」の前で,群がった中学生の前で,解説する先生が一言。


「これ,何を入れるか。わかるかー?お茶っ葉を入れるんだぞ」


 全然,違います。
 碾茶をひいて粉にした抹茶を入れる器が,棗なのであって,お茶っ葉そのものは,入れません。ガッカリだよ。そもそも碾茶とは,

玉露より長い期間、お茶の木全体の日光をさえぎった茶葉を、蒸した後に、揉まずに、葉の形のまま一枚ずつ乾燥させて、葉脈や茎を取り去ったお茶。


碾茶とは - はてなキーワード


この

葉肉の部分だけに精製したものを仕立茶(葉茶)といい、これを石臼で細かく挽くと抹茶ができあがります。


http://www.shunsho.co.jp/2008/03/matucya03.php


というお抹茶及びその原料である碾茶の時点で,葉脈や茎が取り除かれており,一般的な「お茶っ葉」ではない。

棗(なつめ)は茶器の一種で、抹茶を入れるのに用いる木製漆塗りの蓋物容器である。植物の棗の実に形が似ていることから、その名が付いたとされる。


棗 (茶器) - Wikipedia


その抹茶を入れる器が,棗。
 小ウルサイようだが,「お茶っ葉」を保管する茶筒と棗とは,用途や使用する場面など,大きく違う。美術の先生(おそらく)は,その点,大事に語ってもらいたい。美術工芸など,日本のアートシーンに茶道が深く関わっていることも含め,丁寧であってもらいたいもんだ。世間話じゃない。美術館でのレクチャーなんだから。