エアコンな話 now and then


 今年も自宅でエアコンのお世話になるシーズンは終わった。北海道とは言え,涼しいだけの夏ではない。夏日,真夏日の日数よりも,最低気温の上昇がずいぶんと堪える。高気密高断熱の住宅が増えたおかげで住宅内の熱のこもり方も以前とは比べ物にならない。そんな北国の夏でも,わずかな空調があることで,疲労回復が進み,体調管理がスムースになる。
 こんなことが書き出しているのは,この夏に次の記事を見かけたのだった。

(経済気象台)空調20度のススメ
 「キミの会社では、夏の空調設定は何度?」  海外IR(投資家向け広報)の場で、米国人ファンドマネジャーから唐突に聞かれた。
 「28度」と答えようとしたら、先回りされた「どうせ,地球にやさしく,とか言ってるんだろ?そんなことだから日本はダメなんだ。グーグルでは一年中20度だぞ」
 彼の理屈はこうだ。人間の頭脳が最も効果的に回転し,効率的に仕事ができるのは,少し肌寒いくらいの20度。グローバルで勝ち残る企業は,最優秀の人材を集め,彼らの能力を最大限に発揮させようとあらゆる手段を講じている。突出した企業の存在が国を安定させ,社会の安定にもつながる。


2015年08月25日 朝日新聞


読んだ途端,懐かしくなった。渡部昇一の「知的生活の方法」を思い出したのだった。

 「ヨーロッパの連中には、勉強してもかなわない。連中の1年は、日本人の1年より3カ月長い」。若き日の渡部昇一さんは、ドイツやイギリスに留学中に、高温多湿の日本の夏を嘆いていた。

 ▼もっとも、エアコンを自宅に取り付けて、すべてが解決する。30年以上前にベストセラーとなった『知的生活の方法』のなかで渡部さんは、知的生活のためにはまずエアコンを買え、と若者にハッパをかけたものだ。


【産経抄】エアコンと知的生活 2月17日(1/2ページ) - 産経ニュース


そう,勉強するなら,ベストパフォーマンスを発揮するなら,エアコンを使え,と。もちろん,今や,命を守るためにエアコンを使え,でもある。渡部昇一の言葉が,今はとても,よくわかる。


知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)