読書感想文「イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子」東海友和 (著)

 いつ朝の連続テレビ小説の主人公になってもおかしくない人物・小嶋千鶴子そのひとの評伝である。なんてったって,この人,父,母,姉と家業の呉服屋の後継者を次々と失い,自身が継ぐため,進学を諦め,年の離れた弟を一人前にするために艱難辛苦と機転と勉強で乗り越え,そして,弟に経営をバトンタッチするまで婚約者には結婚をなんと10年(!)待たせ,結婚し会社と故郷を離れ,本屋を始めたと思ったら,弟からのカンバックの要請に応え,経営陣の一人になって会社の合併・拡大のための組織づくりに尽力,監査役,相談役を経て徐々に第一線を退き,リタイヤ後は,陶芸,美術館の開設,そして現在に至る。あー,すげー。半年で足りるか,この人。
 人事・組織開発を担当する経営者であるので,経営トップはもちろんのこと,管理職そして人事・総務部門の皆さんにオススメの本だ。ページを開けば,彼女の肉声が聞こえてきそうなのでね。
 私は,彼女の「問題あらへんか?」の実践を誓ったし,かつての上司が「何か,いーことなーい?」と毎度,同じセリフを使って職場を回っていたのを思い出した。


イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子

イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子