読書感想文「ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年8月号」ナショナル ジオグラフィック (編集)

 <パンデミックと闘い続ける人類>である。天然痘,ペスト,コレラ赤痢チフス,ポリオ,炭疽狂犬病,敗血症,エボラ,これまでに人類が向き合ってきたこれらの感染症。直接,立ち向かった研究者や医者は,ジェンナーやパスツール,コッホなど偉人伝として有名な方々もいれば,今回,初めて目にする方もいた。
 いま,新型コロナに立ち向かっている人たちの中でも抜きんでた存在であるのが,マイケル・キャラハン。抜群の行動力と実績で,あのダイヤモンド・プリンセス号では検疫作業を手伝ってもいた。キャラハンのアイディアである「自分たちの健康を守るには,ほかの国々がそれぞれのニーズを満たせるよう,実情にあった支援策を見いだす必要がある」という考え方は,まさに,SDGsがこれだけ流行し,消費されている中で,「利他」を国際協力の中で実践しようとするものだ。シミ抜きや繕いにも似たパンデミック対策への費用は目に見えない分,効果を図りづらい。だからこそ,この雑誌の特集から我々は感染症の歴史を学ぶ必要があるのだ。