読書感想文「経営参謀 戦略プロフェッショナルの教科書」稲田 将人 (著)

 日経ビジネス文庫お得意のビジネス小説である。
 経営参謀は登場しない。経営参謀が求められるシチュエーションに陥った状況を通じて読者に考えさせるのだ。お前がこの会社の経営参謀だったらどうする?と。
 マネジメントがチームづくりだとすれば,経営参謀とは組織の中で個々のマネジメントが機能しているか,課題解決に向けて改善・改革が進んでいるかを組織的にチェックする社長業の補佐だ。
 スーパーマン的な人物が個人商店から,やがて大組織を形づくる。全ての組織の成り立ちから成長を知っているのだから一を聞いて十を知る創業者の時代である。それが2代目以降になる。組織としてしか,幹部を通じてしか会社を見ない。マネジメントの最小単位の「現場」にトップが興味を持てているかが鍵になる。その時,大きくなった組織で各々のチーム同士が最適な協調をさせることが社長の仕事だ。その社長の手となり足となる社長チームとして参謀が組織文化,組織体質をつくるのだ。