読書感想文「「日本型格差社会」からの脱却」 岩田 規久男 (著)

 デフレは悪である。
 では,なぜ90年代以降,続いているのか。デフレ脱却を図ろうとしても,その政策の本意とすることをよく理解しないまま,好き勝手に気分でものを言い出す連中があまりにも多いためである。さらに,緊縮策が予算編成権能を振りかざす上で有効なため,よりエラソーに振り舞える権力発生装置なためである。
 なので,岩田先生は怒っている。「自称リベラル派」に,である。ゼーンゼン,リベラルじゃねーじゃん!嘘ばっかついて,消費税上げておいて,失業者を増やして,格差を拡大してんじゃん!とお怒りなのである。
 さらに,労働生産性などという正体不明な数字を弄ぶアトキンソンフルボッコである。生齧りで分かったふうなことを言っていいわけじゃない。側用人に置く側も目利きは大切である。
 金融,雇用,再配分(財政),社会保障など,ホンモノの知見を持った専門家にキッチリと仕事をしてもらうことがいかに大事か。気分や思いつきでアレコレ言い出す素人がいかに有害であるか。
 学問として成立し当たり前になっている金融経済政策を学ぶこと,そうした学問や知を蔑ろにして国力を毀損した時代であると,同時代人として反省も述べておきたい。