論理や理屈で日々,納得や説得が交わされる現在である。
では,一見ごもっともで納得や説得されてしまいがちな,そのもっともらしさに乗ってしまって大丈夫なのか。ほんのりと気分やムードで乗っかってしまっていいのか。
その言説の事実・推測・意見は何か。ちゃんと切り分けよう。ウソや妄想・飛躍からデタラメが言われていないか。そもそも事実・推測・意見がグチャグチャに混ぜ込んでいないか。検証は一つ一つ行うのだ。順番に問うのだ。相手にも自分にも。
論法や表現,因果関係,態度など,論理を交わす場面での技法や手段がいくつも紹介される。だが,これらを含めて騙されてはいけない,ということだ。優れたテクニシャンよりも,素朴な正直者が求められのだ。
いつか分かり合えるのか。相手の立場や言いたいことを尊重することはできるだろう。しかし,同調する必要もないければ同意したり,説得される必要もない。その場で反論できなきゃ,意見を保留して逃げたっていいんだ。
この夏,冷静にモノゴトを見,考えるために手にとってもらいたい一冊だ。