読書感想文「教育格差」 松岡 亮二 (著)

 「親ガチャ」完全解説本である。
 政治や行政,マスコミなど政策形成に関わる人たちは,教育と子育てに関してこの本を読まずして語ることを当面,禁止しておく。この本で扱うのは「本人には変えることができない『生まれ』ーー帰属的特性である出身階層と出身地域による教育格差」。ね,ドンピシャでしょ。
 「貧困線(所得の中央値の半分)を下回る家庭で育つ子どもはいつの時代にも存在し」,「メディアの報道量や一般的認知度にもかかわらず,『子どもの貧困』は常にあった」。それは「いつの時代にも子どもの貧困による教育格差はある」ことを指す。
 僕らはちゃんと受け止めるべきなのだ。「戦後,他国と同様に日本においても社会的再生産が起きてきた。出身階層による社会的地位ーー身分を一定水準で再生産してきた以上,日本は「生まれ」によって機会と結果に格差のある『緩やかな身分社会』なのである」。そうなのでアル!やるべきは,真っ当に,「一人ひとりの潜在可能性を最大化するための教育環境の整備が先なのだ」。
 目を覆いたくなる現実は,過去も今もある。ただ,その手は世の中を動かすために使おう。つくづく,そう思う。