読書感想文「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」河合 香織 (著)

 混乱である。
 日本社会というのは,個人としては優秀なのだろう。そして,親分ー子分やチームが形成されまとまると強い。だが,それぞれが組織としての体裁を保ち,もっともらしい方向に動き出そうとすると途端にセクショナリズムが非全体最適な行動を取り始める。それぞれのムラがムラのメンツや利害を主張し始める。途端に解決すべき課題や目標が何だったけ?となる。
 コロナ対策専門家会議。全員が新型コロナの専門家なのか?それは違う。新型コロナはそれまで無かったのだから初めてなのだ。WHOで活躍した人は何人もいた。SARSと戦った人もいた。だが,個々に新型コロナへの見方はずいぶんと違う。そして,新型コロナは目論見を易々と裏切る。
 今後もこうした強敵や国難はカタチを変えて僕らを襲うのだろう。そして小物や小人物が騒ぐだろう。いい加減でデタメラなことを騙るだろう。では,どうするか。
 尾身の言葉をヒントに引いておこう。「リーダーは感情のプロである必要がある。リーダーとは何かといった本には,決断力やコミュニケーション,大きな方向性を示すことなどが書いてありますが,でももっとも重要で難しいのは,感情の,怒りのコントロールです。怒ったとしても,根拠のある怒りが必要だ。後で尾を引かないような怒り方をすることが重要です」。