読書感想文「今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」」佐藤 耕紀 (著)

 ビジネス物知りおじさんになれる一冊である。いや,ビジネス物知りおじさんとお話し相手ができるようになる本だ。できることなら,そんなビジネス物知りおじさんが語る上手い話しは避けた方がいい。商売の本質はそんなところにはないからだ。なので,この本で語られるテーマの多くを熱く語るような人がいたら「いやー,勉強家なんですね。素晴らしいですね」と褒めつつ,全力ダッシュで逃げるべきだ。
 商売とは営業である。そして,自分(たち)は何を売っているのか。その商品の本質的な価値とは何かを絶えず考え続けることである。その上で,技術であり,商人道徳である。
 つい,商売が回り始めると,色んな会合や集まりへの声が掛かる。そして,商売周辺のもっともらしい話を聞くことになって,ついつい,その気になってしまう。だが,脇目を振っていちゃいけないのだ。カッコいい話し,最先端のもっともらしい話しをしている暇があったら,自分の商売に精を出すための,おかしな話し判定機として,この本を使おう。