読書感想文「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」 ブライアン・ハリガン (著), デイヴィッド・ミーアマン・スコット (著), 糸井 重里 (監修), 渡辺 由佳里 (翻訳)

 商売における善とは何か。商人道徳とは何か。
 コミュニティを大切にせよ。儲けは後からついて来る。夢を語り,ファンには直接,語りかけ,そして,副産物として生成されるコンテンツはフリーに,ファン同士が繋がりやすくなることに注力せよ。まさに「Don't be evil」である。
 金儲けのために,自分の決定権を失わないことだ。大きな何かに自分を委ねてしまって雁字がらめになってしまうのなら,面倒を厭わず,自分たちで自分の商売をマネジメントすることだ。大きな何かに縋ったり,中間業者に搾取されるくらいなら,細かなところまで自分たちでコントロールする権利を持つべきなのだ。そうやって自分の商売のマネジメントを譲らないことだ。
 訳書が出版されて10年以上経つ。インターネットは相変わらず「進歩」している。だが,進んだのは,通信回線の太さによる情報量と,ウェアラブルって結局,スマホとアップルウォッチだったっけ?と思わせる同時同報性の仕組みが整ったぐらいじゃないのかい。リアルタイムが重要視されるが,時間も空間も超えてつながることは少なくなった。
 読後の衝撃は,大きい。私は,ビジネスをここからスタートさせる。迷った時は,必ず読み戻す本になった。この本があるなら大丈夫だ。
 ドラッカーの「非営利組織の経営」以上に古典として読み継がれて欲しい。私は,そう思う。