読書感想文「人間関係のレッスン」向後 善之 (著)

 暴力的なまでのモラハラパワハラやいじめに,どう対処するかを説いた本だ。それも具体的にだ。
 強烈なモラハラを受けている時の体や心の変化をどう発見するか。そして,どう対処するか。それを,できそうもない方法やありえない手法で煙に巻くのではなく,一つ一つを言語化して,わかりやく伝えてくれる。なんだろう。なぜ,この本がベストセラーになっていないのか。それとも,私がこれまで知らないだけで,もう定本の地位についている本なのだろうか。むしろ,そうであって欲しい。誰かれ問わず,教科書になって使われていて欲しい。そんな本だ。
 囚われてしまっている人間関係のパターンや,生じてしまうネガティブな感情をダメ押しするような考えが,何かをきっかけに自動的に生じるようになる「自動思考」を変えていくための方法がレッスンとして書いてある。
 「共感とは空気を読むことでも同情でもない」,「知らないことは知らないと言おう」など当たり前だけど,重要なことが書かれている。そして,ちょっとした勇気の必要性も。