読書感想文「今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」」佐藤 耕紀 (著)

 あなたは,選択を迫られたことはあるだろうか。どーするんですか!どーしたらいいんですか!決めてくださいよ!と。
 ビジネスにおける心理学・認知科学大全である本書は,シーナ・アイエンガーの名著「選択の科学」を思い出させる。シーナの来歴への興味も手伝って,世界的なベストセラーになった。人は多すぎる選択肢からは,そもそもの選択する行為すらあきらめてしまう,というのだ。
 では,マネジメントする側として何をどう決定するとよいのか。「自分を含む人間は,間違う」ことを前提にすべきなのだ。何が問題なのかを見誤る。判断に当たっての大小,緩急,頻閑のとらえ方を間違う。モノゴトの軽重,重要度の判断をし損ねる。
 つまり,意思決定は失敗するのだ。では,ケガが少ないのはどれか。危機に陥ってダメージを避けられないとしても,大ケガで済んで命を落とさずに済むのはどちらか。僕らの人生の結果は,しょせん,天運である。努力できる環境や才能だって,たまたま与えられたに過ぎない。地震は発生し,津波はやってくる。だが,逃げる選択をするのはあなただ。運で決まってしまう土台の上で,失敗で失うものをどうやって最小にするか。僕らの「意思決定」が問われているのは,そこだ。