読書感想文「自分の仕事をつくる」西村 佳哲 (著)

 静かな,そして熱い本だ。仕事において,本質をつくるための試行錯誤である。
 登場するそれぞれの人にとっての仕事への目線と方法論だけど,ライフハックの開陳でもなく,ノウハウの伝授であったりでもない。じゃあ何だ。その仕事をしようとするキモは,案外,その仕事に直接,手をつける前の(意識しない)工程にあるんだよ,となる。つまり,「見当をつける」段階である。いわゆる見極めの段階と言っていい。実は,そこで,あなた自身が問われる。あなたはどう考えるんだい。お前さんが思う「いい仕事」「いい生き方」ってのは,何なんだい?
 今は違和感を抱えながらも,空かせた腹を満たすのが精一杯の毎日かもしれない。だが,ふと立ち止まって,ホンモノって何だろうな,と自分のちっぽけさに気づいちゃったとしても,その等身大の自分でどう勝負しよう。経歴や肩書きじゃなく,全てをとっぱらって固有名詞の自分で生きてやろうと思うとき,「やり甲斐のある仕事」「やる意味を感じる仕事」を自然と考えるだろう。
 腹を括ろう。レッツ・ワーク!