読書感想文「つかむ・つかえる行政法」吉田 利宏 (著)

 吉田法令本だ。面白いゾ。
 法令をわかっている人だ。元衆議院法制局の人なんだから当然だろ,と言いたいアナタ,ちょっと待って。わかってることの深さなのだ。ストンと腹落ちしてるからこそ,多角的に説明ができる。その吉田の最大の強みは,例えツッコミ…じゃなかった例示の想像力だ。これが出来そうでできない。教科書を読むと名詞である専門用語が普段使わない動詞とともに文章となる。それをこうかな,あぁかなと言葉を頭に浮かべ,飲み込むように頭に入れる。覚えるプロセスは,そうなってしまって構わないのだが,いざ自分の言葉で説明できるか?となると,案外できないものだ。さらに,誰もが具体的にイメージできる卑近な例で説明できるか?その際の吉田の例示が面白い。
 法令を学ぶ人は,吉田法令本はひと通り揃えて副読本にするといい。学習中につまずいた際,別の説明や解釈の仕方,違った見方はないのかと思った時に一連の吉田法令本を開くといい。こうした深い理解があれば,目の前の現実に置き換えて考えることができ,法令学習はエモくなる。