読書感想文「ひどい民話を語る会」 京極 夏彦 (著), 多田 克己 (著), 村上 健司 (著), 黒 史郎 (著)

 こっそりと申し上げたい。全落語家、落語作家は必読である。急げ、新作(新古典か)のネタの宝庫だ。
 まぁ、アレだ。いい大人が四人も集まって、何と馬鹿馬鹿しいことを言ってんだか。ダメなオジさんたちによるダメな会話である。寄ってたかって「ひどい話し」なのだ。ぜったいに、しずかちゃんに「もう、知らない!」と嫌われるオヤジたちである。ひどいのは「民話」なのだが,嬉々として集め語る「民話を語る会」も大概であり、尊敬と敬愛すべき面々だ。
 このバカバカしさ、くだらなさは何だろう。それは民話の持つパワーであり、その由緒由来にある。民話とは民衆の中から出てくる口承文芸である。整えられた昔話や伝説とは異なる。ウケなきゃ残らないのだ。バカバカしくても、くだらなくてもウケりゃ勝ちなのだ。程度が低くても、突っ込みどころだらけでも、デタラメでもイイのだ。あー、ひどい。しかし、洗練されちゃダメなのだ。ギャハハハと笑わせりゃいい。
 どうです、鈴々舎馬るこ師匠、やりませんかね。「ねぎに土を」なんて寄席にピッタリだと思いますよ。