読書感想文「アフターコロナの「法的社会」日本 社会・ビジネスの道筋と転換点を読む」長谷川俊明 (著)

 間違いなく我々は転換点にいる。やがて世界史の中においても語られるようなだ。
 雰囲気やムードが行動を制することがあったとしても、それは恒常的なものにはならない。ルールや法が決断をさせ社会的な行動の決め手となる。
 この本は、ルールを多面的に見ることの大切さを教えてくれる。目の前にある条文が全てでは無いのだ。いま現在の法律をつい絶対視してしまいがちだが、法律をその導入へと向かわせたきっかけや制定の歴史的経緯から見ること、さらに米英、仏独など諸外国との比較をしながら相対化してみせる。
 あー、そうか。過渡的であり、途上であり、動的なのだ。変えてきたし、変わっているし、変わっていくのだ。GDPRSDGsが諸条件であり、そこに、防疫やデジタル化がマストになった。ならば、法制度、社会規範はどんどん変わる。変わり続けることが定常状態となる。だからこそ、これまでの道筋と世界的な視点が欠かせない。
 法律と社会を考えるとき、スルメイカのように何度でもページを開きたくなる本だ。