読書感想文「徹底討論 ! 問われる宗教と“カルト”」島薗 進 (著), 釈 徹宗 (著), 若松 英輔 (著), 櫻井 義秀 (著), 川島 堅二 (著), 小原 克博 (著)

 あなたは、このテレビ番組をご覧になられただろうか。時宜を得た番組とその後の出版とは、まさにこのことだ。「あの問題を語る上で日本を代表するベストメンバー」という感想が寄せられたという。まさに語るべき人たちが語った一冊だ。
 神仏の類いだ。科学の発達に伴い、信心とは「手を合わせなければキマリが悪い」、「お務めを欠かさず偉いね」と言われる程度の話しであって、身を捧げたり、戒律のもとに暮らすようなものじゃない。世間さまの間で毎日を送るための術のようなものだ。
 何かしらの「正しさ」「あるべき人生」の所作や儀礼、儀式を持ちこみ、それにハマることで、自分自身で寄る方のない日常の不安から解消されるための存在としての宗教に「すがり」「頼る」のだろう。複雑さを増す社会に、自分で判断しないため、いや、積極的に思考停止できるのだ。その結果、高度に文明が発達した現代社会において、宗教のカタチをした犯罪組織・反社会勢力が存在し続ける、ということなのだ。何ものかに属している「安心」が生むデタラメやインチキがお天道様の下にあり、過度な強欲さが個々の人心を食い荒らしているのだ。
 もはや、一家に一冊、中学生・高校生・大学生に一冊である。