ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「蝶として死す: 平家物語推理抄」羽生 飛鳥 (著)

 才覚と天運である。
 なまじ能力があるばかりに疎んじられ、警戒される。まあ、少しくらい抜けている方が可愛げあるのだから、才気張って輝き放ったところで必ず重用されることにはならない。組織で働くとは当意即妙で受け答えができたり、気働きができたところで出世するわけではない。その地位に引き上げてくれる者に愛でられることで、栄達が叶うのだ。
 しかし、知恵者・能力者には案件が持ち込まれる。これが厄介だ。ホイホイと気軽に乗って「ココが解決のしどころ!」とばかりに注力し、スルっと見事に解決したところで、問題がこじれなかった分、問題の大きさ重さが伝わらず、軽んじられることにつながりかねない。ツウぶった人にはわかってもらえるのだが、案外、「業界ウケ」みたいなことで終わってしまう。しかも、都度都度、問題が持ち込まれることは変わらない。
 自身の才覚に気付いてしまったとて、自由競争の市場ではなく組織の中で生きることを選んだのなら、諦めが悪くてはダメだ。組織内での能力発揮の程度を測るべきだ。「夢みる輝きたいのだオジさん」では使われるだけで、燃え尽きるし朽ち果てる。地位に付くための欲がないなら、とっとと出家した方がいいのだ。荘子の言うように決して上の者に媚びを売らず、地位も名誉も富も無縁であれば、むしろ自由にいられる。
 蝶の外観に騙されてはいけない。蝶とは栄達ではなく、自由の象徴である。