ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「天皇問答」奥泉 光 (著), 原 武史 (著)

 平熱で冷静に語り合う天皇制である。
 この対談でキーとなるのは、中間層だ。この層は、案外キワどい。支配エリート層のような人的ネットワークや人間関係からは除外されているし、核心的な中枢の情報には触れることはできない。なので、歴史的背景や構造的なものの見方でメタ思考するのは不得手だ。その一方で、支配エリート層や一般大衆に比べ時間はあるから、世事に触れるだけでなく、意見表明もするし、何なら仲間内で盛り上がっちゃって止まんなくなる。SNSでイキっているのも、結局、この層だったりする。
 メンバーシップ労働と高齢化が、デフレと円高金融危機が相まって平成の30年を、動かないでじっとしている者を有利にさせた。下手に欲をかいて新たな商売に手を出して失敗するくらいなら資産を守った方が良かった。そんな時代背景だったから、制度は変わらないで温存された。温存されたままの旧弊について中間層は好き勝手なことを言った。
 いま、風雲急を告げる世界情勢の一大転換点にある。そして、ようやく物価と賃金が上がり始めた時代となってきた。つまり、混乱を伴いながらも、じっとしていては損な世の中になった。これでは、中間層は暇じゃなくなる。形而上学的な議論や観念的なことを言ってる場合じゃない。こんな世界史に区切り線が入るような状況だと、飯のタネにならないようなことに構ってらんなくなって、案外、ものの弾みで制度や体制はポロンと変わっちゃうかもしれない。
 まだまだ、世の中に出てきていない歴史資料が、多数眠っているんだろうなとも思うし、あっけらかんと表に出てくることを期待したい。向き合うべき歴史の重さも思いつつ。