儲かることに特化した企業だ。おかしなことか、いや営利企業であれば当然だ。世の中には、往々にして、企業理念として青臭い、聖人君子が掲げちゃう理想や理念を明日にでも実行することだと勘違いする企業と社員が大勢いる。違う。そうやないんやで。儲けなあかんねんで。おまんまどうして食うねん。製品をあまねく届けるだの、世の中のみんなに健康と豊かさを届けるだのといった夢や願いはKPIやない。天高く描いたものを実現するための儲けが必要なんや。
キーエンスは、受け取る製品やサービスへ「ありがたい」と思ってもらえて、ついお金を出してしまいたくなる値段を設定する。僕らがたいてい間違っているのはココだ。市場で類似の商品を探し、相場感覚をもとに想定の支払価格のもと原材料費と加工賃を、歩留まりとロット数でコスト計算して、利益が薄いだの、案外儲かっただのと語るのだ。ところが、キーエンスはそうじゃない。売れるシチュエーションすなわち困りごとを抱えた人をターゲットにする。そこで妥当と思わざるを得ない売価を設定し、80%の利益率を取れるかをしたたかに計算する。儲からんことはしないのだ。
そのためには、社員に無駄足はさせないよう事前の対処を施し、何をしてきたかもいつもフォローし、評価できるようにする。これって何だろうか。社員という代理店、フランチャイズ契約の相手のようだ。小テストを繰り返し、身につけた知識を確認し、本番で能力を発揮させるようにする習熟度別学習のようでもある。
客先の顧客のセリフと実際に財布を開けるかどうかの決断は、別なのだ。顧客がこう言ったからと言って、それを鵜呑みしちゃいけない。言うたからには買うてくれるやろと勝手におもうたらイカンねや。それと同時に職長が部下に「こいつはちゃんと客先で話ししてくるやろか」とあらかじめベストパフォーマンスを発揮できるよう、ロールプレイに手を掛けるべきなのだ。キーエンスとは「ホンマかいな」と疑問を持ち続ける会社だ。JTCとは違い、理屈オリエンテッドで動く会社と言えそうだ。その原動力は、蒸気機関と電気モーターほど違う。
