私的旅行記である。なので、誰かの旅行のための参考になったり、役に立ったりするかとなるとそれは別だ。
僕らは友近の旅のメモから何を読み取るか。それは旅をすることによる発見についてだ。旅館やホテルが良かった。温泉の泉質が良かった。メシがうまかった。そこじゃない。わざわざ移動し、場所が変わることで、日常と離れ、わずかな瞬間かもしれないが、頭の中にいつもある考え事が離れる。そのために、行く。次の瞬間に日常に引き戻されたとしても、もう一度浮かんだ日常のことがらは、それまでとは連続ではない。あえて、日常を非連続にするための道具としての旅なのだ。
旅とともにある人生を送る友近は、芸人稼業であり、定期的に住まいのある東京を離れる。なので、要務先からさらに足を延ばすことを考えやすい。家ー会社の往復の移動だけの毎日とは、やはり違う。だからこそ、我々は、意識的にそのトリップが小さなものであっても、非日常を摂取しなくてはならない。視点、思考、考え方の癖、行動などが凝り固まってしまうことへのデトックスが必要なのだ。
思い出づくりの要素もあるだろう。だが、旅の本質的な効能は、脳への「サプリ」と言えそうだ。
