ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「この国の戦争 : 太平洋戦争をどう読むか」奥泉光 (著), 加藤陽子 (著)

 粉薬を飲むごとき煩わしさだ。苦い匂いや味が鼻と口に広がる。勢いよく飲めば咽せ返る。そんな一冊だ。
 日本とは、なかなか人を得ない。つくづく、そう思う。一角の人物が大きな役目を担わない。結果、中途半端な痴れ者がのさばり、碌なことにならない。軍人勅諭ができたのも、西郷や江藤の反乱が怖かったからだ。心底震え上がった。道理を正面から眦を上げて言われると、どうしようもない。本当に嫌だ、と思った。原理原則を貫き、昨日まで言ってたことと違うと詰問されると窮する。辛かったのだ。だからこそ、おとなしてくしてくれ、言うことをきいてくれ、と祈るようにわざわざ文字にした。
 そして、満蒙である。そもそも満蒙などという言葉は無かった、いや、そういう概念が後付けされた。このことが象徴的であるように、いつも理屈が後付けされる。小理屈は得意なのだ。誰かが閃いたり、論点をずらすことで、えっ?そうだったの?と驚かせる。やれやれ、どうしたものか。
 将たる人物を得ない、ということなのだ。人を率い、統べり、動かすためには、絶対、原則、物理法則に準じた万人に納得のいく作戦と行軍がなければいけない。フィリッポスやフォーキオンのような言葉を使える将が必要なのだが、本邦では失敗している。いつだって八幡様が蛮勇をもって奇襲を成功させてくれる。んなことあるかー。まったく思考放棄なのだ。
 読後の喉のひりつきを用心し後味の悪さを覚悟して読み通してほしい。