ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「30の都市からよむ日本史」金田章裕 (監修), 造事務所 (編集)

 知っているようで案外と知らない都市の地誌である。もちろん、全国の天気予報で毎日伝えられる街もあれば、そうじゃないところも紹介される。でも、メジャーかどうかより、歴史のトピックが立った場所かどうかが、30の選に入ったか漏れたかの違いだ。
 いくつか気づくことがある。意外と「軍都」がある。陸軍の師団が置かれたことが発展の契機になった街がいくつもある。軍隊が駐屯することで消費活動が生じ必要物資を供給するための生活産業が発達するのだろう。また、関東・東北では、その歴史に関東管領が影響が濃い。当然、歴史の主役では無いが、歴史の主役の行動に必ず関東管領の補助線が入る。関東管領から見る歴史があっていい。
 北陸・近畿では本願寺が欠かせない。門徒が多数であることが当たり前になって社会を回すようになったこととそれへの反発など、門徒社会学があってもいいんだろうなと思う。また、江戸や奈良や大阪などで描かれる上水・下水の衛生対策は、人口がスケールしていくときに必ず問われる問題である。
 「歴史」として都市の成立に重きが置かれているため、高度資本主義経済における発展についての記述が弱く産業資本が都市の発展に寄与したかが十分ではないし、新幹線や空港、高速道路などが及ぼした影響なども触れらるべきだと思う。しかし、それは別な著作に譲るべきなのだろう。全国をオーバービューする視点と歴史の要点をコンパクトに知っておく休日の教養書だ。