ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「女二人のニューギニア」有吉 佐和子 (著)

 思い出すのは、「なるほどザ・ワールド」であり「世界ウルルん滞在記」だ。リポーターが世界へ飛び出し、現地を伝える。我々は、世界の本当を知った気になった。兼高かおるが作り上げられた「世界」に満足できなくなったお茶の間が求めた「海外」だった。当時、盛んに言われたのは「コクサイカ」である。これからは「国際化の時代」なのだそうだった。当然、未開の地を訪ねても、十分な資金とスタッフで安全が確保されているのは画面のこちら側でもわかった。
 世の中には、瓢簞から駒が出るように、なぜかニューギニアに旅行に行ってしまうことがある。ホンマかいな、である。忙し過ぎる有吉佐和子が判断力の低下と人的つながりの期待でもって、まんまと、かつ、甲斐甲斐しく旅の支度をしてニューギニアへ行ってしまい、後悔する。なので、ほぼ愚痴だ。多忙と疲労による判断力の低下は、ろくなことにならない。情報不足と自分への過信は戒めるべきだろう。
 後悔するということは、過去の自分を客観視できている、ということでもある。この客観視する観察眼は周囲にも向けられる。有吉は周囲を分析し理解する。とりわけ相棒の文化人流学者という存在に目が向けられる。有吉の目を通じて、我々は文明について考える。文明社会とはよく言ったもので、文明とは社会規範も伴うし社会によって共有される交換価値も変容させる。文明社会と未開社会の接触する場面で衝突しかねないヒヤヒヤする場面の臨場感もわかる。こうしたリアリズムを後世に残しておいてもらって本当によかった。
 ポンポンと感情にまかせ出てくる明け透けなオバちゃんの会話の小気味良さも味わうことができた。そうした明るさに救われることも多かった。