ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「飛脚は何を運んだのか ――江戸街道輸送網」巻島 隆 (著)

 飛脚とはシステムである。中継リレーが上手くいくよう手筈が整っている必要がある。
 サービスが高度化しシステムが開発されるときのニーズとは、大抵の場合、軍事目的・軍事利用が端緒である。飛脚というシステマチックな仕組みもそうで、最前線と司令官との間で最新の情報の伝達が何より必要だった。それは大規模な戦さとして、源平合戦に始まる。
 また、江戸時代に、天下の台所、商都・大阪と幕府を置いた江戸という2つの性格の異なる拠点の間で、通信が必要になったことが飛脚を一層、発展させた、という指摘は面白い。つまり、A - B間の片方からの発信だけでは、発展せず、相互のやり取りなくして飛脚という仕組みが発展しなかったということだ。
 廻船問屋や高瀬舟に代表される物流と違い、情報通信手段として、少なくとも本人や配下の者が直接、持ち込むことに比べ、スピーディーであることを謳い、サービスを求められたということである。
 近世の経済を成立せしめた社会システム・飛脚。近代国家を迎えるまでの準備期間の世間の期待を運んだ、ということでもあるのだろう。