お手軽ハウツー本だと舐めてかかると痛い目に合うぞ。「サクちゃんという哲学」である。コミュニケーションや発意、感情、捉え方見方などについての「サクちゃん・ウェイ」であり、「サクちゃん・メソッド」である。現代の哲人・サクちゃんの思考だ。
サクちゃんとは考える人ではある。つまり、考える一方で、自分を見て、相手を見る人だ。そして、話すと聞くを自分の中に置くのではなく、自分と相手の間に「話すと聞く」を置く人だ。話すと聞くことを自分で背負いこんでしまわない。なので、話すと聞くに対してイーブンにフラットになれる。話すと聞くを自分に内包してしまうと、言葉に押しつぶされそうになるし、その言葉が自分の中を駆け巡るので、相手を見られなくなる。そう、自分のプールが言葉でいっぱいになって、自分のことを見られなくなる。当然、思考も回らないし、感情に蓋をしてしまうことになる。言葉よりも人を思って見ているのではないか。
サクちゃんがコロナ禍に始めた雑談のサービスだが、あえて雑談と言い続けているのも興味深い。chit-chat, small-talk, chatting, idle-talk など気取って英語に置き換えることなどいくらでもできたはずだが、ザツダンと洒落っ気のない語感を使い続けている。雑談を気取ったものにしない、という思いがあるのだろう。当然、「仕事は「どこの、誰に、何を、どのくらい届けるか」の設定がすべてだと考えている」と客商売を通じて得た感覚からの言葉のリアルさと言えようか。そして、思いつきを事業計画に落とせる人だ。
ぎゃふんと言わせるような思想家ではない。だが、感情と思考のクセに気づけ!自分に気づけ、他人から聞くだけじゃなく、自分を知って、自分を知ってもらえ!というサクちゃんに、もっと光が当たるのではないか、そんな気もする。
