ウチダカズヒロのブログ

最近は読書感想文を書いてます。オススメ本を教えてください。読書感想文のご依頼あれば、読みます(たぶん)。kazgeo@gmail.com まで。

読書感想文「ヤクザときどきピアノ 増補版」鈴木 智彦 (著)

 身体知を習得するための、謙虚さについての本だ。「いい人」になっていくことの本と言ってもいい。
 レイコ先生も言う。センスがあったり、飲み込みの早い人はいる。「わかる!」「わかった!」ということだ。早々に、事象を頭の中で抽象化しイメージして「理解」できる人だ。それだけで社会人として有用だったりする。だが、落とし穴がある。「わかる」と「できる」は違うのだ。いちいち、考えたり、思い出したりせずに自然と問いに答えられたり、体が動かせなくては、体得できたことにならない。
 レイコ先生は知っている。「練習をしないと弾けないの。弾ける人は練習をしたの。難しい話しじゃない」。そう「量質転化の法則」である。量が質を生むのだ。この量と向き合うことは、独学では難しい。ご褒美が与えられると嬉しいが、現在の状況を客観視し、適切なガイドができるレイコ先生と巡り会えたことが鈴木智彦の特質だ。「師匠選びも芸のうち」であるが、レイコ先生が、音大生時代からピアノ講師をめざしていた、ハナからプロコーチ志向だったということも見逃せないだろう。
 中高年のレッスン・ストーリーとだけ見るのはもったいない。情熱であり、音楽、ピアノへの愛である。なにかを身につける原動力としての「好き」の存在だ。
 YOU CAN DANCE.