2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「王墓の謎」河野 一隆 (著)

世界宗教誕生前の「神」と人々との関係である。 交易や生産活動によって、宝飾品などの財がやってくる。交換や贈与によるものなので、それが個人だけでなく、集団に貯まることはインフレを招く。価値の低下である。適切な社会活動が行われなくなるので、社会…

読書感想文「下町サイキック」吉本 ばなな (著)

そっかー、下町は無くなるのか。 やたらと説明してくるように、吉本ばななが主人公に仮託して語らしめる、人と人との距離感や関係性が独特な「下町」があった時代が終わるのだ。それを記念写真のように描いておこうとしたのだ。「下町」では距離感が近すぎる…

読書感想文「学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話」ちいさな美術館の学芸員 (著)

ハウツー学芸員である。 アートとは見識である。ものの見方である。現実に存在するアート(プリントされたり、画面上に映し出されたりしている状態かもしれないが)は、なぜ価値あるものとして我々の目の前にあるのか?その価値足らしめているのは何なのか?…

読書感想文「モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち」楊 海英 (著)

日本人の知らないモンゴルの話しである。 わからないはずだ。魚を取ったり米を育てたりしないし、鬱蒼とした森を歩くことのない人たちの世界なのだ。馬であり、羊である。我らは、そもそも鎌倉武士以降の一所懸命の人たちだ。彼らは天幕で過ごした後、移動し…

読書感想文「うつを生きる 精神科医と患者の対話」内田 舞 (著), 浜田 宏一 (著)

「勝ち負け」と「栄達」と「人間万事塞翁が馬」である。 リフレ派のご本尊であるハマコー先生は、いつも柔和な表情で経済政策を語る。しかし、それまでの人生において苛烈な経験を伴いながら、壮絶な闘病人生があった。 世間的な評価ではない。そんなものに…