2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「黒田官兵衛―知と情の軍師」童門 冬二 (著)

官兵衛は軍師であった。だが,軍師であり続けたわけではない。そして,秀吉にとって軍師として重用はされたが,決して一切を委ねられたわけではない。 配下の者ではあったが,それはスタッフとして立場であって,ラインを統べる立場ではなかったのだ,と童門…

読書感想文「コロナ対策禍の国と自治体 ――災害行政の迷走と閉塞」金井 利之 (著)

災禍に向かう政府は,中央であれ地方であれ「失敗」する。なぜか。金井は言う。「災害とは,行政に対する需要を増やし,行政による供給を減らす。基本的に災害対応を行う行政は,失敗が運命づけられている」。 シニカルな金井節か,とも受け取られようが,「…

読書感想文「女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち」 ブレイディ みかこ (著)

これを読み通すのは,相当の政治マニアではないか。労働組合の専従職員なら読むか,政経学部でも、院生はともかく学部生なら面白がって読むのか。政党機関紙の配達員なら嬉々として読むのか。マニアックである。ゆえに読むには気合と体力が必要だ,と言って…

読書感想文「小説 黒田如水」童門 冬二 (著)

後悔をする男・黒田如水である。 何せ「天下一鋭い頭脳の持ち主」である。ほぼほぼバカにしてるのか?と聞き返す称号だ。だが,本人にもその自覚がある。ヤレヤレ。 如水は小早川隆景にこう言われる。「如水殿は頭がよすぎる。そのため,決断が早い。それに…