2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「木挽町のあだ討ち」永井 紗耶子 (著)

江戸の名手である。 とくに町人、悪所を書かせたとき、この人の右に出る者は何人いるだろうか。まるで、暖簾の向こうで見てきたようまちの風情を描く。たいした筆力だ。ただただ恐れ入る。 大団円を迎えるまで、地味なシーンに時間を掛ける。それには理由が…

読書感想文「成瀬は信じた道をいく」宮島 未奈 (著)

人格の形成とはいつ成されるのだろうか。 持って生まれた性格や才能、能力が揃い「その人」らしさが形づくられ、他からもそう認識されるのはいつなんだろうか。何を言いたいのかと言えば、続刊であるこの本にもおいても、成瀬あかりはあいも変わらず天然・自…

読書感想文「2020年代のまちづくり: 震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ」 宇野常寛 (編集), 井上岳一 (著), 加藤優一 (著), & 18 その他

なぜ、サブカル批評、現代文化論の宇野は、政治や地域社会を論ずる本を作り続けるのか。 この本は、2011年の東日本大震災、2020年前後の新型コロナウィルス感染症の社会経済情勢の受け、東京や地方の「まちづくり」を考えたものだ。もっとも、下敷きとして19…

読書感想文「世界は経営でできている」岩尾 俊兵 (著)

岩尾は言う「なぜお前は自分自身をマネジメントできないのか」。そればかりではない。「なぜお前たちは、いつまでも手段と目的をとっ散らかっているのか」と呆れているのだ。 しかしだ。あなたがいま求めているものは、目的ではなく手段ではないのか?と問わ…

読書感想文「事務に踊る人々」阿部 公彦 (著)

事務とは、手続きであり、プロトコルであり、フォーマットであり、プロセスであり、契約であり、説明責任であり、会計であり、ブロックチェーンである。要は、「正しさ」を求める一連の行為である。 この一連の行為において我々は「正常」でなければならず、…