2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2019年 1月号 [茶の湯とデザイン。/石田ゆり子] 」

建築インテリア系雑誌のお茶特集。茶室や茶道具の基礎知識のページだったり,武者小路千家の千宗屋さんが,この類の特集に登場するのはお馴染みで,つい「またか!」と口をつく。なので,流し読みになってしまいそうだったが,途中から俄然,面白くなる。京…

読書感想文「日本史の探偵手帳」磯田 道史 (著)

磯田先生の雑誌寄稿を束ねた一冊である。連載や書き下ろしではないこともあるのか,筆致が抑えられ,ウケを狙いにいっていないところがいい。「戦前エリートはなぜ劣化したか」は,明治維新後のリーダー層を3期に分け,第1期の志士,第2期の慶応年間から明…

読書感想文「志ん生の食卓」美濃部 美津子 (著)

昭和のメシである。なので,大したものは出てこない。当たり前だ。当時はそんなものだったのだ。ヒト・モノ・カネが大移動することが当然になったのが,1985年だろうか。プラザ合意の年だ。円高になり,人が海外に出かけるようになり,モノはイトーヨーカ堂…

読書感想文「吉本ばななが友だちの悩みについてこたえる」吉本ばなな (著)

同世代の周りの人たちよりも早く社会的な地位を得たが故に,人とのつながりとは?を考える機会が多くなってしまった吉本ばななが寄せられた悩みに答えるという形式で綴られた一冊。吉本ばななという特殊な環境だから,この回答なのだ!と切った捨てることも…

読書感想文「麒麟児」冲方 丁 (著)

勝海舟である。西郷隆盛,坂本龍馬,横井小楠,徳川慶喜ら「主役」に対するセットものとして取り扱われる海舟の内面が全編を覆う。あまりにも大きな存在の幕府を結局,能ある「人物」である海舟がしようが無く背負わされてしまう。しかも意を尽くす相手が大…