2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「ある男」平野啓一郎

変身である。能面をつけること,仮面ライダーがポーズを取ること,遠山の金さんが着けた裃を脱ぐことなど,何者かになった後,その何者かであることを理由に「力」を発揮する。このとき,A→Bなのか?という疑問がついて回る。A→A′ は本質的にはAなのであっ…

読書感想文「本所おけら長屋」畠山 健二 (著)

毒にも薬にもならない,ただただ眺めていられる話しがある。最近の時代劇だと,NHK「小吉の女房」,「大富豪同心」なんかがそう。安心して眺めていられる。この本もそんな一冊。 下町の長屋が常に舞台。通りを面した12世帯と大家が繰り広げる短編集なのだが…

読書感想文「ランチ酒」 原田ひ香 (著)

乾き,かさついた主人公・祥子をとりまく事態が,日々,新たに起きる。そんな中,みずみずしさを現すのが,夜勤明けのランチ(夕食か?)と酒,そして別れて暮らす娘だ。 それぞれの食事のシーンでは,まばゆい位に食事に日が当たる。そして気がつけば,注文…

読書感想文「「さみしさ」の研究」ビートたけし (著)

結論は出た。最後まで,可能な限り現役でいることだ。老後や隠居,余生はない。年齢に伴う老いや衰えは確実に存在する。そのために,どう生きるか。たけしは言う,自分を客観視できる力を鍛えろ,と。「もし何かひとつに執着していたら,今の自分はなかった…