2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想文「この父ありて 娘たちの歳月」梯 久美子 (著)

父娘の関係とは、他の家族関係と見比べると明らかに違う特殊さがある。例えば、母娘関係がある種の動物的な肉感のある関係であるのに対し、観念的かつ分かちがたい関係だからだ。 書き手となった娘が残した作品と、娘が語る父。溢れるほどの愛を注がれた娘も…

読書感想文「ルワンダ中央銀行総裁日記」服部 正也 (著)

国をつくる話しである。 地味な開発援助の本であるのにロングセラーの一冊だ。途上国で活躍する日本人の熱きドラマがウケるのか。卓越した知恵が難問を解決するからか。いずれでもない。この本に書かれるのは、経験豊富な中央銀行職員が当たり前の金融政策・…

読書感想文「できる社員は「やり過ごす」」高橋 伸夫 (著)

本当は正しい高橋伸夫である。歴史と伝統に裏打ちされた年功序列で運営される日本型経営が正しかったのだ。構造改革、リストラクチャリング、業績主義、成果主義…この30年間導入されて、上手くいったのは何社あるんだ?日本経済はどうなった?肝心な成長はど…

読書感想文「親鸞と日本主義」中島岳志 (著)

親鸞が好き過ぎて、親鸞原理主義に陥った若者たちがいた日本である。 青年が艱難辛苦から、救われたい、逃れたいときに、「他力本願」に気づき、阿弥陀さまに慰撫され、癒され、構ってもらえることが嬉しかったの相違ない。寂しかったのだ。そんな青年たちが…

読書感想文「感性でよむ西洋美術」伊藤 亜紗 (著)

「考えろ、感じろ」な美学入門である。 実は、僕らは美術の教科書を持っていたり、たまに開いたりしたが、何か教わっただろうか。実は、美術とは知識であり、概念である。「きれー」とうっとりしたり、「すごい!」とため息をついている場合では無いのだ。こ…