読書感想文「女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち」 ブレイディ みかこ (著)

 これを読み通すのは,相当の政治マニアではないか。労働組合の専従職員なら読むか,政経学部でも、院生はともかく学部生なら面白がって読むのか。政党機関紙の配達員なら嬉々として読むのか。マニアックである。ゆえに読むには気合と体力が必要だ,と言っておこう。
 読者層は,新聞の国際面もちゃんと目を通す人である。衣食住そして移動,通信,娯楽といった生活の全てにおいて,原料や素材,加工,流通,そのあらゆる段階においてグローバル化している中,新聞の国際面は読まれて当然である。報道機関としては,そんな意義深いニュースを「伝える」ために,「受け取ってもらう」ことを意識し過ぎて,単純化・エンタメ化してしまう。そんな努力もむなしく消費されてしまうのが国際ニュースの性である。なので国際ニュースは,意識高い系すら成立しない。マニアの世界である。
 ブレイディみかこは,人を描く。右左から上下の対立の時代に,長く「改革」として称して掲げられたのは,馬鹿げた財政均衡主義であり,その正体とはただの新自由主義に過ぎなかった。その衣を脱ぎ捨てさせることを意識しているブレイディみかこが,こうして世界の人たちと政治家(パワー)のシーンを描き出している。そんな世界の今ぐらいは,この本でわかっておいていいだろう。