教育の現場が大きく変わりだすきっかけとなるか


一つ一つの現場への不信の増大が,統制を招くことになった。
残る,首長と教育委員会との関係のあり方に進むか


の続き。


 安倍首相が教育再生関連3法案を速やかに国会に提出するよう指示した模様だ。「ぶらさがり」の取材でも誇らしげに語る姿が今夜のテレビニュースで流れていた。
 教委に対する「国の関与強化」が,分権の流れに逆行すること,とりわけ,地方自治法にある各大臣が都道府県に是正要求が出来る旨の規定があるにも関わらず,勧告・指示を地方教育行政法に改正で盛り込むことで,今後,文部科学省−教委の縦ラインに対しての,地域における教育のあり方を総合的に考える上で,首長と教育の問題がクローズアップされることになるだろうし,教育委員会そのものの役割や機能発揮が問われると思われる。


 まずは,教育委員(会)の透明性と説明責任になるだろう。
 議員との比較の構図で,地方自治体の財政問題が大きく取り上げられるようになって,地方議会,地方議員の存在価値,資質の疑問が噴出し,議員提案条例数や財政問題への関心が,今回の統一地方選で,より厳しく審判の材料とされるようになったのに対し,いじめ問題で無責任だと非難された教員委員は,選挙の洗礼を受けない分,議会の承認,首長によって任命されるプロセスの透明化と選任理由の説明責任が,一層,問われるようになるのは間違いない。


 また,これまで話題になることは少なかったが,学習指導要領−教育のナショナルミニマム,教育水準についても,地域における教育の独自性を首長が訴える以上,教育の分権の中でどう取り扱うかの議論も避けられないはずだ。


 今回の件は,最近,増えているといわれる教育委員会から特別に教員だと認定される「特別免許状制度」による中途採用制度ともに,教育現場を大きく変えていくことになるのかも知れない。

首相、教育再生関連法案で国の関与強化認める

 首相は、教委に対する国の是正勧告や指示権に関し、(1)いじめや子供の命や安全にかかわる緊急の問題については国が指示できる(2)必修科目の未履修問題など、子供の教育を受ける権利にかかわる問題については、国が是正を要求できる−ことを法案に盛り込むよう指示した。

 政府の規制改革会議や地方団体などが「地方分権の流れに反する」と反発し、中教審の一部委員にも反対意見があった。首相はこれらに一定の配慮を示しながらも「教育の最終責任は国が負う」とする自らの考えを貫いた。


(2007/03/12 20:03)
産経新聞


<参考> wikipedia 教育委員会