リフォームを依頼した


 おしゃれを意識すると,ツイードのブレザーは欲しくなるアイテムの一つではないか,と思う。私もファッションの教科書どおりに,ヘリン・ポーンのハリス・ツイードを手に入れようと思った。田舎に住んでいると,そうした子ども臭い憧れはそう簡単に叶えてくれるはずもなかったが,吊るしてあったブレザーの内側の表記は,もっと味のあるものだった。北アイルランドのドニゴール(ドネガル)ツイード。10年以上も私のハンガーラックの重要なポジションを占めているのが,それである。
 グレーのもっさりとしたもので,地味なものだ。内側のワッペンがドニゴール(ドネガル)だ!と派手に主張している。それ以外はどっしりと「風を通すもんかい!」と衛兵のようなしっかりした存在だ。
 このブレザーの袖口が擦り切れてきたなと感じたはの今年に入ってのことだったように思う。ああ,もうダメか,と思った。もうずいぶんと乱暴な着方につき合ってきてもらったけど,肘やポケットじゃないから直せやしないだろうな,とあきらめとともにツイードのブレザーの二代目を考えようか,どうしようかと思っていた。
 今日,仕事帰りに思い切って通り道の洋服直しのリフォーム屋に入ったところ,擦れ切れた部分を詰めるから袖がほんの少し短くなるけど,それでイイかい?と聞かれる。ほんのわずからなら,OKだ。それで,長年の友と堂々とつき合えるのなら,そんな嬉しいことはない。
 仕上がりは週末。税込1,575円の出来映えがとても楽しみだ。wktk