住宅のバリアフリーでの疑問に「ああ,そうか」と思いましたよ。


 積雪地域での住宅バリアフリーのあり方への漠然とした疑問が少し解決した気がした。
 三男が交通事故で車いす生活になった建築家,米木英雄さんが福祉住宅の勉強をはじめたときのこと。

既存のマニュアルは役に立たなかった。廊下や階段の手すりは片側にしかない。往復や上り下りで使うなら両側に必要なのに。雪国ではスリップも怖い。理想は地面と段差のない「低床式」だ。住宅では基礎を持ち上げるのが常識だが,コンビニは低床式じゃないか。
(略)
 米木の提唱するバリアフリーの考え方は,北海道の道営住宅で採り入れられた。通路の幅は最低120センチ。手すりは両側に。風呂とトイレは広く。これまでに858戸ができた。


ニッポン人脈記 - 息子の宿題 バリアフリー - 朝日新聞 2009年(平成21年)9月3日


 そうなのだ。「住宅では基礎を持ち上げるのが常識」なのだ。防寒,防雪が理由なのだが,果たしてこの常識でいいのか。高齢化社会にあって,北海道では誰もが高床の自宅の玄関前の階段の上り下りがしんどくなってきている。技術イノベーションが向かう先は,低床式を普及させるための社会システムなのかもしれん。それは,夏と冬の2重の出入り口なのかもしれん。